Kenta’s BLOG Vol.4 Study for Self/portrait

2020/9/30(Wed)
Study for Self/portrait 2020

photo by momoko japan


 NDTを退団してフリーランスという荒波へ出航してちょうど10年。思った以上に険しかったこの10年、なにかを達成したようで、なにも達成していない気もするけれど、さまざまな人と出会ってきたことでダンサーとして活動が広がり、私が想うダンスの概念はそれらの経験を通して知らぬ間に身体に構築されていると感じる。

 素晴らしい出会いはいつも人生に起こる。場所との出会いもそうである。音楽を聴くと思い出す記憶があるように、空間にも記憶と交わるマジックがある。今まで忘れていた思い出が鮮明に浮かび上がったりする。その瞬間に生まれるムーブメントのように現れては消えていく。でも確かな感覚として実感する。

 ダンスとはダンスを見せる行為にあるのではなく、身体の実感を伝えることなのかもしれない。蓄積された身体の経験を呼び起こしていく姿を見ていると、自ずと自身の記憶や体験と結びつき、想像が広がる。

 感覚という曖昧な記憶、論理という学術的な構築、体験の蓄積、妄想と現実が交わる想像…上げていくときりがないけれど、ダンスにおける気付きや発見を身体が記憶している状態を保つためには創作、訓練など地道な作業と舞台の実践を継続することが必要不可欠。そうすることでさらに新しい状態が作られる。まるで水の流れのように止むことがない。

 『Study for Self/portrait』

 この作品はその身体の状態を記憶するという行為をパフォーマンス化した。例えばレンブラントが生涯にいくつもの自画像を描き残したように、ダンサーは常に身体でポートレイトを描いているのではないかと感じている。それから私は自身が立たされているダンス環境と向き合い、ミニマムなパフォーマンス形式を取り、ポートレイトを描くのに相応しいと感じる空間を探した。場所や建物が持つ空気感に影響された原美術館とオランダ大使公邸では、自然と私の記憶が蘇ってきた。それぞれ異なる記憶の断片ではあったが、その瞬間に描かれたポートレイトは、時間とともに静かに消えてくのだろう。

Study for Self/portrait 2020Study for Self/portrait 2020Study for Self/portrait 2020
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photo by momoko japan