talk Dance Vol.1「緊急事態宣言」(小㞍)
2020/5/28(Thu)

写真:DaBYチャンネル開設記念「金森穣×小㞍健太」インスタライブ(5月23日)
緊急事態宣言が出た。新型コロナの拡大防止対策で劇場やスタジオが閉鎖になり、稽古やトレーニングに行くことができず、活動ができないというまさかの事態になってしまった。そして自粛中、活動ができなくなってしまった私たちダンス・アーティスト(ダンサー、振付家)は、どのようにダンス活動と向き合っていくのかという課題を突きつけられている。
そんな状況下、オープンが延期してしまったDance Base Yokohama (DaBY)のオンラインコンテンツを実験的に行うという目的でインスタライブをすることになった。ネット配信にはなんとなく抵抗があったが、ゲストに声をかけた仲間も賛同してくれたし、何より予想に反してたくさんの人が聞きにきてくれた。インスタライブでは、みんなとスタジオで雑談をしているような雰囲気を久しぶりに味わうことができた。
自粛中、フリーランスを始めた10年前に思い描いたような活動はまだまだできていないという不安が襲ってきたり、SNSからの情報は焦りに変換されてしまい、踊ることから離れてもいいのかもしれないと考え始めていた。だが、インスタライブでダンサーの仲間と話すことができ、ここで少し立ち止まって活動について考えることは悪くないのかもしれないとポジティブに思えるようになってきた。
それからは、気分が上向きになり、身体を動かすことを始めたくなり、オンラインクラスを試しにいくつか受けてみた。継続できたのはやはり幼少からやっているバレエクラスと過去に受けたことのあるイスラエル人振付家*オハッド・ナハリン(Ohad Naharin)によるダンスメソッドの*ガガ(Gaga)クラス。狭い部屋のスペース&オンラインクラスでテクニック的に上達することは難しいが、身体感覚や意識の持ち方の維持はできそうだ。過去の感覚を呼び覚ますことができるダンスメソッドだからそう感じるのかもしれない。そして再発見も多くあり、家にいながら身体と脳に刺激をもらっている。
この1ヶ月で少しずつメンタルも落ち着き、今後について考え始められるようになってきた。緊急事態宣言が解除されてもオンラインクラスは需要があるだろう。オンラインのダンスの在り方にも興味が出てきた。それと同時に、目に飛び込んで来る情報を選ぶ力を身につけないと迷うだけだ。課題は見えてきた。そろそろ始動したい。
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(参照
*オハッド・ナハリン(Ohad Naharin):
イスラエル人振付家で、イスラエルを代表するコンテンポラリーダンスカンパニーのバットシェバ舞踊団(Batsheva Dance Company)の芸術監督兼常任振付家として長年活躍。激しくそしてしなやかなムーブメントを堪能できるダンス作品でありながら、社会問題をコンセプトといている斬新な演出は見るものを常に魅了する。特に『Sadeh 21』では涙が出た。近年はコンテンポラリーダンスカンパニーだけではなくパリ・オペラ座バレエ団など一流バレエ団のレパートリーとなるなどバレエダンサーの間でも一目置かれる振付家である。現在はカンパニーへの振付をする一方でフリーランスとしてイスラエルのテルアビブを拠点に活動。
*ガガ(Gaga):
イスラエル人振付家のオハッド・ナハリン(Ohad Naharin)が考案したダンスメソッド。元ダンサーであったオハッド自身の怪我からの復帰体験が基になったと聞いた。Gagaクラスでは、言葉で身体の中から動かすイメージを誘導してくれる。死海で浮いた時に感じた身体感覚のイメージが一番近いと思った。興味のある人は、一般向けの「Gaga/people」クラスもあるのでぜひ体験してみてほしい。ちなみにダンサー向けクラスは「Gaga/dancers」。
<お勧めオンラインクラス>
・オランダ国立バレエ団(Het National Ballet)のオンラインクラス
https://www.youtube.com/watch?v=FrISNpG0bZk
・ガガ(Gaga)オンラインクラス
https://www.gagapeople.com/en/