2023年度Dance Base Yokohamaレジデンスアーティストについて
Dance Base Yokohama(DaBY)はまもなく開館から3年を迎えます。
コロナ禍での船出は、大きな計画変更も多かった一方で、国内で活動するダンスアーティストや関係スタッフの方々と深く意義深い対話ができた貴重な期間にもなりました。
設立当時には予想もしなかった状況の下、DaBYで創作活動を行っていただくレジデンスアーティスト/ダンサーについても、より日本の舞台環境に適したあり方を探り、少しずつ変更を加えてきました。
そして、2023年度につきましては、より若い世代に充実した創造環境を提供できるよう、新たに35歳以下のアーティストに向けてDaBYレジデンスアーティストの公募を行いました。*1
選考にあたっては、書類にて応募のあった19組の中から、DaBYのコンセプトに共感をいただいた方々と直接お話をする機会を設けました。
ここで最も重視したのは、下記の3つの視点です。
・自身が日本においてプロフェッショナルなアーティストとしての活動を推進したいと考えていること。この場合のプロフェッショナルには、自身の活動を通して社会との接点や観客との関係性の構築を行い、社会の中でのアーティストの役割を思考することを含みます。
・DaBYのコンセプトに共鳴し、共に日本のパフォーミングアーツ環境の改善に取り組みたいと考えていること。自らの活動のみならず、舞台環境の現状の課題の共有や実践を重視しています。
・他のアーティストやスタッフとの対等な関係で創造活動を行うこと。DaBYに集うすべての人々は互いにリスペクトしあい、フラットに意見をシェアするように努めること。フェアクリエイションを提案しています。*2
面接を行ったすべてのアーティストの方々が、DaBYと同様の問題意識をもち、私たちのコンセプトに大変共感して下さっていたことは嬉しいことでした。
スタジオのスペース上、充実した創作環境を提供するためにはアーティストの数を制限する方が良いのかもしれません。しかし、今日の状況において、日本の舞台環境を共に考えていきたいと願う一人でも多くのアーティストの方々と問題意識を共有し、意見を交わしあっていくことが重要だと判断し、最終面接をさせていただいた11組全ユニットに、2023年度のレジデンスアーティストになっていただくことに決定いたしました。
またお会いしたアーティストの多くが、同世代、あるいは異なるジャンルの方などとの情報共有や相互交流を希望されており、DaBY開設時の目的のひとつである「ダンスを巡るコミュニティ」としての役割が求められていることも実感しました。
すでにレジデンスアーティストとして活動されている国内外での経験の豊富な8名の方々には、引き続き、新レジデンスアーティスト/ダンサーへのメンターとしての活動もお願いしています。
芸術の育成・発展には観客の皆さまのサポートが必要です。皆さまには、様々な形でDaBYに関わることで、日本の舞台環境の改善に向けて、さらにご支援いただきますよう、あらためて、どうぞよろしくお願いいたします。
Dance Base Yokohamaアーティスティックディレクター
唐津絵理
◇2023年度 新レジデンスアーティスト
阿目虎南
綾門優季
女屋理音(room.Onaya Rion)
小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク
酒井直之
田村興一郎
仁田晶凱
橋本真那
濱田陽平
藤村港平
BALA
各アーティストのプロフィール等、詳細は以下のページをご覧ください。
・レジデンスアーティスト/ レジデンスダンサー:https://dancebase.yokohama/creator/residence_artist
*参考1
DaBYのレジデンスアーティスト/レジデンスダンサーとして活動するにあたっては、下記の各活動条件などを理解し遵守していただくことを確認しています。
①社会的な視座を持った活動 DaBYのコンセプト* を理解した上で、現在の舞台芸術や社会環境に対しての応答や、 社会への関わりについて考察する活動であることを条件といたします。 *https://dancebase.yokohama/concept
②オープンな活動 DaBYでは、健全なクリエイション環境を実現するために、閉鎖空間を作らないことを 原則としています。また、参加するクリエイターやスタッフが平等にコミュニケー ションを行う場の創造を意図し「フェアクリエイション」 の実践を目指しています。 *トライアウトや集中したいタイミングなど一時的に扉や窓を閉じてクローズドの状 態で使用することは可能です。
③リスペクトの姿勢 参加するクリエイターやスタッフ等DaBYに関わるすべてのメンバーと、相互にリスペクトしあう関係のもとでクリエイションを行うことにコミットしてください。セクシャルハラスメント・パワーハラスメントその他リスペクトに欠ける一切の行為を禁じます。
*参考2
フェアクリエイション宣言
Dance Base Yokohama(DaBY)は、健全な創作環境を構築するため、
1)創作に関わるすべての人がキャリアや立場を超えて尊重し合うこと
2)観客を含めた第三者が参加するオープンな空間を創出すること
を宣言し、その取組みをフェアクリエイションと名付けました。
フェアクリエイションとは、「フェアトレード」の考え方を応用したDaBY独自の概念です。
DaBYは、観客が創作過程から作品を見守り、フラットな環境でつくられた作品を選択・鑑賞することを通じ、共に持続可能なダンス環境を生み出していくことを目指します。