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Dance Base Yokohama

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PAS2023 柿崎麻莉子×唐津絵理 対談 vol.1 「不眠」をテーマに取り組む新作『Can’t-Sleeper』

2023/8/28(月)

「パフォーミングアーツ・セレクション2023」にて作品を発表するアーティストとの対談シリーズ。
今回は、柿崎麻莉子と唐津絵理による対談のvol.1をお届けします。

■vol.2はこちら

 

唐津絵理(以下唐津):本日はお時間いただき、ありがとうございます。

麻莉子さんと最初にお仕事をやらせていただいたのは、2020年の「ダンス・セレクション2020」(愛知県芸術劇場)でのソロの作品『The stillness of the wind』ですね。麻莉子さんがバットシェバ・アンサンブルやシャローン・エイヤールのL-E-Vダンスカンパニーといった最先端の大きなカンパニーで、踊られていらっしゃったダンサーということはもちろん知っていたけれども、この作品を最初に見た時に、現代的なダンサーというよりは、むしろ原初的な身体、ダンス以前の身体をとても強く感じたんですね。近年、ダンス作品というと、ダンスを通して社会に対して何かメッセージを発信するような、身体よりは頭脳優先のむしろ左脳的な部分から発想する作品作りが、特にヨーロッパではメインストリームになってきていると感じていました。

一方で、麻莉子さんがこのソロ作品の寄せていただいた文章の中に、「自分がいつも踊ったりしていたってことが、後で初めてダンスなんだって気が付いた」という言葉があって、それが私にとって非常に印象的だったんです。麻莉子さんの身体は、すごく鍛えられていて技術も素晴らしい一方で、原初的なものも思考している。そのアンビバレントな近代性と原初性が共存している感じしていました。ソロ作品は、それが一番コアにある部分だと感じていて、それでソロ作品の上演を依頼しました。そこから3年が経過しましたが、ちょうどこの3年は、DaBYがスタートしてからの3年なんです。麻莉子さんにとって、ソロが原点だとすると、次のステップとしてご一緒できるのにデュオが良いのではないかと考えていました。

前提が長くなってしまいましたが、今回、麻莉子さんに作品の創作についてお声がけをした時にアリスさんと踊りたいという話が上がりました。その経緯について、お話しいただけますか?

柿崎麻莉子(以下柿崎):まず、私はダンスがすごく好きで、踊ることも大好きだし、踊っている身体を見ることも大好きで。踊っている身体というのはテクニックだけではなくて、その人の心が動いている様子を見るのがすごく好きなんですね。そういう人に私はインスピレーションをもらっています。そこで、今回唐津さんに「誰かとデュエットを創ってみてください」とお話があった時、誰の踊りを感じたいかということを考えました。それがアリスさんだったので、作品のテーマを考えるより先に、「アリスさんと踊りたいです。」とお話をしました。

今思い返してみると、声をかけていただいた時って、出産してから一年ちょっとくらいの時期で、まだ産後の身体が抜けきっていなくて重たくて。自分自身のダンサーとしての活動も、日本に戻ってきて、その出産前の2、3年前と比べると全く全然違う状況でした。やはりどこかで世界トップレベルの身体と精神が一致していて、ファンタジーを見せてくれるような優れたダンサーの身体に飢えていたんだと思います。私はそういう身体を自分自身の近くで感じたかったので、アリスさんに声をかけました。その時私が必要だったのはダンスを感じることだったんだなと思います。アリスさんと踊ることになって、その後にテーマが決まりましたね。

唐津:麻莉子さんは素晴らしいダンサーの方々とたくさん仕事してきている中で、アリスさんの特に惹かれるというのはどういうところなのでしょうか?アリスさんの魅力を教えていただけますか?

柿崎:まず彼女はダンサーとしてのテクニックがすごく高い。元々NDTで踊っていて、今はシャローンのカンパニーで踊っているダンサーなのですが、身体能力っていう意味では、ものすごくハイレベルにいると思います。同時に彼女の持っているその人物としてのエネルギーが、とてもポジティブで、柔らかくて、陽の雰囲気に溢れている人間で、彼女のダンスを見ると、温かいものが溢れてるんですよね。彼女がどんなにシャープな動きをしていたとしても、彼女の持っている人間性がそこに現れていて、彼女のムーブメントにはユーモアがあると感じています。それはコメディみたいなユーモアではなくて、コミカルさ、キュートさ、チャーミングさみたいなもので、そういうところが彼女の魅力だと思います。

唐津:アリスさんに声かけてスタートして、今回のテーマが「眠り」ということですが、このテーマはどこからきているのでしょうか?ご自身が不眠症だった時期があったとお話しされていましたよね。

柿崎:それは大きく関係してると思います。自分自身の不眠経験から、眠れないことってすごいしんどいことなんだと思っていました。そういう自分自身に少しだけ距離ができたこともあって、改めてその経験を触ってみようかなと思いました。唐津さんに先ほどお話しいただいた3年前に踊ったソロも、自分の経験の感覚がベースにあります。それは幼い時に過ごした香川県の田舎で稲穂が揺れている様子を見てすごく感動して。後からあれはダンスを感じて感動してたんだっていう感動があって、それを作品にしました。

今回は、眠れない夜の長く感じる時間の変容を作品に落とし込みたいなと思いました。同時に、このような作品を作ろうと思ったもう一つの理由としては、今年の3月に長島有里枝さんとい写真家の方の「ケアの学校」イベントとして、「パーソナルダンス」をした経験があります。そのイベントは、事前に何名かの方にお気に入りの音楽を準備してもらって、その人に対して私が一対一で即興的に踊るというものでした。ダンスというのは、パフォーマンスを通して自分の意思や伝えたいメッセージを投げかけるだけではなくて、人の言葉や思い出を受け止めることもできるということその時感じたんですね。

だから私は今回、デュエットの作品を創る時に、誰に対して、誰の思いを受け止めながら創るかということを一番最初に考えました。自分自身が眠れない時間を過ごした経験があるから作品を創りたいというよりかは、その時苦しんでいたかもしれない自分自身に対して作品を創ってあげたい。もし今そういう状況にいて、辛い人がいたら、作品を鑑賞して少し気が楽になるような作品を作れたらいいなと思って、この作品のテーマを決めました。

唐津:それはアリスさんとも共有して話をしながら決められたんですよね。

柿崎:そうですね。アリスさんと共有したのは、彼女が今年の5月に第1回目のクリエイションとして3週間来日していた時です。一番分かりやすかったのは、DaBYでやらせていただいた2時間半に及ぶショーイングですね。私が大体プログラムを考えて、こういうことをやってみたいというのをアリスさんに伝えてクリエイションしていたのですが、結果としてパフォーマンスというよりグループカウンセリングみたいに、あの空間にいた人全員で同じ時間を過ごしながら、眠りについて考える時間が生まれたと思います。その時、2人ともすごく衝撃を受けたことは、その場にいた約9割の人が不眠経験があって、さらにショーイング後に多くの人が病院に行ってみようかなと思ったとか、実は禅寺に通っていてということをアンケートに書いてくれたことです。「不眠」って、あまりテーブルに上がることがないサブジェクトだけど、私たちがそういう場を作ったことによって、それぞれの人がその言葉を残していってくれたということにすごく意味を感じました。だから今回、劇場作品ではあるんですけど、「不眠」の問題をテーマにすることを大きな声で発信していくことによって、それについて喋りやすくなる環境になるのではないかなという期待も込めています。

唐津:それをすごく強く感じます。麻莉子さんは、素晴らしい身体の魅力があるのでダンサーとしての柿崎さんの魅力に強くフォーカスされることも多いかと思いますが、実は内に持っている社会に対しての感覚もとても鋭い。私はダンスアーティスは、社会の中で今起きていることを身体でキャッチする能力が高い人だと思っているのですが、その純度がものすごく高いと思うんです。先ほどお話しされた社会の中の問題点というものをいきなりテーマするわけではないのだけれど、生活の中から課題を拾ってそれが自然な形で作品に現れてきているんだなと改めて思いました。


柿崎:子どもが生まれたことも、そのきっかけにはなっていると思っていて、子どもが生まれたことですごく地に足がつくというか、社会を感じるようになっているんですね。アーティストでいる間は、平等で自分の言葉で発言しても良いし、もちろん社会の中の一人ではあるのですけど、私はありがたいことに、摩擦を感じにくい現場でずっと活動させてもらっていました。その後、妊娠をしてから、女性として、母親としてということを社会から要求されるようになって、摩擦を感じるようになりました。自分がどう思うかっていうことを、あえて発言したり、考えたりしなければいけなくなったんですね。子どもが現れたことによって、自分がアーティストとして、社会に対してどのように対峙したいかということを、地に足を付けた形で考えるようになりました。

今までは想像上で、こういうものが好きだからこういう世界観を描こうとか、こういうお話を読んだからそれを身体でやってみようとか、自分から少し離れたものにも挑戦してたと思います。多分、今は子どもがいると想像する時間がないということもあるんですけども。

唐津:ずっと現実ですよね。

柿崎:そうですね、現実にずっと生きてるから、現実の中で感じることでクリエイションしていくことしかできないこともあって、自分が作りたいものが変わったなって思います。

▶︎vol.2に続く

■パフォーミングアーツセレクションツアー2023 詳細はこちら

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