『ダンステレポーテーション』
ステートメント
基本的に、振付家とダンサーは、場と時間を共有することで作品制作を行っていきます。それが不可能となった現在、振付家は、どのようにしてダンサーとの関係を築き作品を制作することができるのでしょうか。場所も時間も超えたダンスの在り方を探るという意味で、この挑戦にたいして『ダンステレポーテーション』と名付けました。
振付家はダンサーにたいして、絶えず想像を働かせていますが、一方で、ダンサーが、振付家の思考や想像を超えていった時の喜びは計り知れません。この関係性に着目し、また、現時点の状況で実践できるメソッドを考える中で、この『ダンステレポーテーション』が浮かび上がりました。
まず、それぞれのダンサーと対談をし、インスパイヤーされたことから振付家が言葉を綴る。その言葉をダンサーは受け、振付家にたいして、何かしらの手段や 動きで回答します。同じような形で、ダンサー同士のコミュニケーションを行うことも可能です。この新しいコミュニケーションとコラボレーションの中から作品を立ち上げていけるのではと思いました。独立した、親密な関係性とコミュニケーションが噛み合いながらも、見えない作品を制作するという方向性に全体が向かうことで、新しいパフォーマンスの形態を実現できるのではないかと思っています。もしかしたら、ダンスや身体のムーブメントだけではない手段も巻き込んでいくかもしれません。
今回、DaBY主催のサイトスペシフィックダンスが中止となってしまった現実を受け、コロナと闘う現状と共存できるパフォーマンスは何かと考えたときに、この形態に至りました。どのように発展するかは未知数です。この新しいプロセスを是非、見届けて頂けたらうれしいです。
山﨑広太