『ダンステレポーテーション』活動レポート#2

小暮香帆インタビュー
(聞き手:山﨑広太)

山﨑広太さんの「対話」をコンセプトとした新プロジェクト『ダンステレポーテーション』が進行中です。山﨑さんと11名のパフォーマーが、新型コロナウイルス流行下での創作活動を、文字通り手探りで行っています。

「基本的に、振付家とダンサーは、場と時間を共有することで作品制作を行っていきます。それが不可能となった現在、振付家は、どのようにしてダンサーとの関係を築き作品を制作することができるのでしょうか。場所も時間も超えたダンスの在り方を探るという意味で、この挑戦にたいして『ダンステレポーテーション』と名付けました。」
(山﨑広太『ダンステレポーテーション』ステイトメントより抜粋)

今回は、創作の最初のプロセスとしてビデオ通話を介して行われた、山﨑さんによるパフォーマーへのインタビューの様子をお届けします。お相手は小暮香帆さんです。ダンス作品の創作プロセスや、新型コロナウイルスの流行下で考えていることなど、幅広い質問が投げかけられました。
(テキスト・編集:吉田拓)

小暮香帆 | Kaho Kogure
©︎金子愛帆
Kaho Kogure

6歳より踊り始める。ダンサーとして笠井叡はじめ多数振付家作品に出演しながら、2012年よりソロ活動を開始。主なソロ作品「ミモザ」(2015)は初演以降、現在も国内外のフェスティバルで再演し続けている。またミュージシャン、アーティストとのセッション、映画、CM、MV出演など活動は多岐にわたる。2012年日本女子体育大学舞踊学専攻卒。第2回セッションベスト賞、横浜ダンスコレクションEX2015 奨励賞、第6回エルスール財団新人賞受賞。めぐりめぐるものを大切にして踊っている。http://kogurekaho.com/

山﨑広太 | Kota Yamazaki
Kota Yamazaki

笠井叡に師事。07年にニューヨーク・パフォーマンス・アワード(ベッシー賞)、13年現代芸術財団アワード、17年ニューヨーク芸術財団フェロー、18年グッゲンハイム・フェローの各賞を受賞。20年ニュージーランドのFootnote New Zealand Danceの新作「霧、神経、未来、オーシャン、ハロー(木霊する)」でオンライン・クリエーションに挑んだ後、NZ国内、Dance Base Yokohama、北米ツアー予定。
ボディ・アーツ・ラボラトリー主宰。http://bodyartslabo.com
ベニントン大学に所属。


山﨑
おはようございます。まず、このプロジェクトの進め方を説明します。最初に僕がパフォーマー一人一人にインタビューを行い、様々な言葉を受け取ります。次に、そうして受け取った言葉からインスピレーションを得て、僕が言葉を紡ぎます。そして紡いだ言葉をお返しする事から、次の創作プロセスに進みたいと考えています。よろしくお願いします。
小暮
おはようございます。分かりました。よろしくお願いします。
山﨑
それでは始めたいと思います。小暮さんはどのようにダンスをしてこられたのですか?
小暮
6歳からモダンバレエを始めました。大学でコンテンポラリーダンスと出会い、卒業後は笠井叡さんなど色々な振付家の作品出演や、2年に一度のペースで自分のダンス公演をしています。音楽家とセッションをしたり、映像作品に出演することもあります。自分自身での創作と、ダンサーとしての出演の割合が半々くらいです。
叡先生の稽古場は天使館でしたが、広太さんも通われていましたよね?
山﨑
天使館には18歳から20歳まで通っていました。稽古は週3回で即興が中心。内省的な状態から、エネルギーが満ちていって体を動かすような感じでした。笠井さんが投げかけた言葉からインスピレーションを受けて踊ったり、踊っているところに笠井さんが混ざってきたり。当時から、自分にはエモーショナルな方向に進む傾向があったように思います。
笠井さんが最初のダンスの先生でしたから、一番大きく影響を受けました。その影響からいかに方向転換するかという部分では、結構苦労しましたね。
ちょっと実験として、質問します。(手の甲の中心を指差して)ここを見て、どんなことを想像しますか?僕も考えますね。
小暮
(少し考えて)「オレンジの匂い」ですね。
山﨑
いいですね。僕は「湖の上にボートが浮かんでいる」でした。
新型コロナウイルスが流行している現在、感じていることを教えてください。
小暮
以前は電車で行っていた場所に、歩いて行くようになったりして、時間と距離に対する身体感覚が変わりました。それから最近、自転車を買って、歩く時と大きく異なる身体感覚に驚きました。舞台芸術は空間や時間の変化との関わりが深いので、こうした経験から、いつか時間についてのダンス作品が作れたら、と思っています。
山﨑
ダンス作品の創作プロセスについて、教えてください。
小暮
最初に、遠くからの視点で作品の風景が思い浮かぶことが多いです。その風景にピントを合わせていくように、ムーブメントを作ったり、音や照明について考えていきます。
ムーブメントは即興を繰り返しながら決めていく部分と、即興の部分が半々くらいの割合です。
山﨑
数年後、10年後にやりたいことを教えてください。
小暮
作品を上演したり、ワークショップをしながら、海外をツアーで回りたいですね。人と出会いたいし、旅をしたいです。
ソロダンスを続けてきて、他の出演者と共に作品を創り上げたい気持ちも芽生えています。それがダンサーなのか音楽家なのかは分かりませんが、振り付けることにも挑戦したいと思っています。
広太さんはいかがですか?
山﨑
僕は今こうして話していること自体が次に結び付くのかなと思っています。あとは教えることですかね。だんだん老後の方に向かってますけど(笑)。アクティブにやるつもりでいます。
影響を受けた表現者はいますか?
小暮
影響とは異なりますが、最近リサーチしたのはピアニストのグレン・グールドについてです。『ゴールドベルク変奏曲』を全編使ったソロダンス作品を5年前に発表したのですが、何度か再演をしています。今年2月にも、横浜で行われた「HOTPOT 東アジア・ダンスプラットフォーム」でショートバージョンを踊りました。その準備として、本を読んだり、ドキュメンタリーを見る等リサーチを行いました。バッハの音楽は好きです。
山﨑
好きな色は?
小暮
青です。
山﨑
落ち着く場所は?
小暮
自宅の屋上です。いつかお客さんを呼んで、小さなイベントができたらと思っています。
山﨑
野外で踊ることに興味はありますか?また、野外で踊る場合、どのようにダンスを立ち上げますか?
小暮
映像作品への出演といった機会もあり、野外で踊ることは多い方かもしれません。なかでも不思議と「水」に縁があるようで、これまでも出雲の滝壺の周りや、北海道の支笏湖、霧の中などで踊ってきました。
野外では、聴覚を使ってダンスを始めることが多いですね。
山﨑
いいですね。「水」と言えば、僕も野口体操に影響を受けているので、身体感覚として「水」を意識することがあります。
本日は良い言葉をたくさん頂きました。僕の方でこのプロジェクトに繋がる言葉を考えて、後日お伝えします。
ありがとうございました。
小暮
ありがとうございました。

インタビューはいかがでしたか?
ここからどのような表現が生まれるのか、とても楽しみです。
次回のレポートは岩渕貞太さんへのインタビューを予定しています。
引き続き、普段は聞けないダンサー同士の対話をお楽しみください。

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