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Dance Base Yokohama

Dance Base Yokohama

『ダンステレポーテーション』活動レポート#5

木原萌花インタビュー
(聞き手:山﨑広太)

山﨑広太さんの「対話」をコンセプトとした新プロジェクト『ダンステレポーテーション』が進行中です。
山﨑さんと11名のパフォーマーが、新型コロナウイルス流行下での創作活動を、文字通り手探りで行っています。

「基本的に、振付家とダンサーは、場と時間を共有することで作品制作を行っていきます。それが不可能となった現在、振付家は、どのようにしてダンサーとの関係を築き作品を制作することができるのでしょうか。場所も時間も超えたダンスの在り方を探るという意味で、この挑戦にたいして『ダンステレポーテーション』と名付けました。」
(山﨑広太『ダンステレポーテーション』ステートメントより抜粋)

クリエイションのプロセスは、山﨑さんがビデオ通話で各パフォーマーにインタビューを行うことから始まります。次に、山﨑さんがインタビューからインスピレーションを得て紡いだ言葉をパフォーマーに送ります。そして、パフォーマーはその言葉を起点に創作することで山﨑さんに回答します。

今回は木原萌花さんへのインタビューの様子をお届けします。
新型コロナウイルス流行下で考えていることや、ダンス創作における言葉の使い方など、活発な対話となりました。
(テキスト・編集:吉田拓)

木原萌花 | Momoka Kihara
木原萌花
Momoka Kihara

幼少より今村昌子に師事。
2011-2016 年(公財)スターダンサーズバレエ団に所属。
サー・ピーター・ライト、ジョージ・バランシン、鈴木稔、アントニー・チューダー等の作品に出演する。
2017年、クロアチア国立劇場スプリト、スロベニア国立劇場バレエ団にて踊る。
現在は東京を拠点にダンス公演への出演、創作を行う。
また2019年より青木尚哉グループワークプロジェクト/メンバーとして活動。

山﨑広太 | Kota Yamazaki
山﨑広太
Kota Yamazaki

笠井叡に師事。07年にニューヨーク・パフォーマンス・アワード(ベッシー賞)、13年現代芸術財団アワード、16年ニューヨーク芸術財団フェロー、18年グッゲンハイム・フェローの各賞を受賞。20年ニュージーランドのFootnote New Zealand Danceの新作「霧、神経、未来、オーシャン、ハロー(木霊する)」でオンライン・クリエイションに挑んだ後、NZ国内で初演、日本で映像配信を行う(共催: DaBY)。また、北米ツアーを予定。 ボディ・アーツ・ラボラトリー主宰。http://bodyartslabo.com

ベニントン大学専任講師。


山﨑
木原さんは、どのようにダンスをしてこられたのですか?
木原
7歳からバレエを始めました。高校卒業後にスターダンサーズバレエ団に所属し、2016年に退団しました。バレエ団で海外の振付家と接しているうちに、それぞれの振付家が持つ着眼点やこだわりの違いを面白いと感じるようになったんです。もっと様々な振付家の作品を見たい、そして踊ってみたい。そう思って、退団後にヨーロッパに行きました。帰国後は様々な振付家の作品に出演し、現在は青木尚哉さんのグループ「zer○」に所属しています。
山﨑
そうでしたか。日本とヨーロッパの振付家には、どのような違いがあると思われますか?
木原
日本の振付家は、作品を整えるのが得意だという印象があります。それに対して、ヨーロッパの振付家は良くも悪くも偏りが大きく、劇場で上演される作品にも、評価が分かれるようなものがあります。そのような作品が発表できるのは、舞台芸術に対する社会の土壌が豊かに育まれているからではないでしょうか。日本ではまだまだ難しい部分がありますが、やり方を考えれば、もっと多様な舞台作品が発表されることは可能だと思います。
広太さんが活動されていたニューヨークの状況はいかがですか?
山﨑
ニューヨークのダンスシーンは地域によって異なります。アップタウンではバレエやモダンダンスなど、ダウンタウンではより実験的な表現が行われていて、僕は後者に属していました。それぞれ価値観が異なっていて、前者はソサエティ、後者はコミュニティの繋がりが活動の土台になっている印象がありましたね。
木原さんは、振付などの創作活動に興味はありますか?
木原
一昨年、平原慎太郎さんが主宰するダンスカンパニー「OrganWorks」の振付家育成講座に参加して、初めて創作活動を経験しました。私の創作プロセスは、ある場面のイメージが浮かぶことから始まるのですが、そこからは言葉を使って膨らませていきます。自分のイメージを言葉にしてみたり、共演者から言葉を受け取ったりするのですが、言葉を扱うのは難しいと痛感しています。
山﨑
そうですね。僕自身について言えば、ダンサーにある言葉を与えて、その次には全く異なる言葉を与えるような、言葉を分裂的に使う振付家だと思います。
木原
例えば、広太さんがダンサーに対して「A」と言った後に、一見脈絡がなさそうな「B」という言葉を言った場合、2つの言葉に関連はあるのですか?
山﨑
自分の中ではあるのですが、その繋がりについて説明をすると、結構ややこしくなってしまいます。一般的には、たとえ詩的な言葉であっても、連続する言葉は関連していることが大切だと思います。でも僕はしないんですよね(笑)。しかし、例えば土方巽さんも関連しない言葉をどんどん出していたりするので、それでもいいのかなと思います。僕は僕なりに関連させるよう頑張っているんですけどね。
木原
ダンサーとしては、そういった言葉を受け入れて動いてみるのは、楽しいと感じます。突然泣き出すような、一般的には恥ずかしいとされることも、表現として必要であればダンサーや俳優は試みますし、私もそういった表現をすることは好きです。ただ、自分が振付を行う側になった時に、ダンサーへ指示を出すことには信頼関係が必須だと感じました。
山﨑
冒険的な表現に挑戦する時でも、関係は大切にしないといけないですね。ダンサーをケアしながら、表現を深めていったり、ダンサーから表現を引き出すことも振付家の役割だと思います。
木原
広太さんがビデオ会議などで触れられていた、オノ・ヨーコさんの『グレープフルーツ』(※1)について少し調べたのですが、本に書かれているような指示によって、普段はしない行動を試みるのは面白いと思いました。

(※1)『グレープフルーツ』…オノ・ヨーコ著。1964年に限定500部が東京で出版され、1970年には加筆された英語版が世界発売された。「想像しなさい」「書き出しなさい」と読者に行為を促しながら想像を喚起する内容で、ジョン・レノンは本書にインスパイアされ、名曲『イマジン』を制作したと言われる。現在入手しやすいのは、1993年に英語版から再構成され、日本語に訳された『グレープフルーツ・ジュース』(講談社文庫)。
山﨑
数年前から行っている、「Becoming an Invisible City Performance Project」(※2)で、「知らない人に向かって片手を上げてみる」というようなタスクを、メンバーの一人が街の中で実行したことがありました。日常ではしない行動ですし、いろんな反応があったそうなんです。毎週行われている会合で、その体験談を聞いていて、とても面白かったです。
『グレープフルーツ』に話を戻すと、現在のように自宅にいることを求められる時に、いかにイマジネイティブになれるのかが大切だと思います。例えば「渋谷のハチ公前に行ってください。上を向いて太陽の光を口の中に入れてください。それから、しゃがみ込んで、自分の手を見てください。」というような想像をしてみる。

(※2)「Becoming an Invisible City Performance Project」…将来、パブリックスペースと劇場を結ぶことを目指す、都市縦断型パフォーマンス・プロジェクト。地域に根ざした観客参加型バージョンのプロジェクトを構想している。コロナ禍の現在はプライベート空間とパブリック空間を交換するなど、新たな可能性を見出すことを試験的に行っている。
木原
それを実際にやってみるということですか?
山﨑
そうではなくて、イメージするということです。そして、そのこと自体が振付なのではないか、と僕は思います。振付には、リハーサルでダンサーにムーブメントを与える以外にも様々な要素があるのではないでしょうか。だから、この『ダンステレポーテーション』では、皆さんにインタビューをして、僕が言葉を綴って送り、皆さんからリアクションを頂くことにしました。
木原
なるほど。私は自宅にいる状態が続くなか、ダンスのムーブメントを考えるよりも、行動を変えてみることに面白さを感じています。目隠しして過ごしてみたり、手を使って食事してみたり。
山﨑
そういうことが重要だと思いますし、そこから新しい発見が生まれると思います。
木原
広太さんは子どもの頃から踊ってらっしゃるのですか?
山﨑
僕は中学高校と吹奏楽の指揮者をやっていました。その頃に、指揮者によって指揮する動きが異なるので、自分にも独自の動きができるのかもしれないと考えました。そうして徐々にダンスに近づいていきました。
木原
指揮者からダンスに進むというのは初めて聞きました。
山﨑
それと、僕は人と話すのが苦手だったんです。言葉の論理が嫌いだったんですね。ダンスも音楽も論理を通過せずに、すぐに表現できるでしょう。また、僕の地元では方言と標準語が混じっていて、自分がどちらの言葉で話せばよいのかと戸惑っていたことも関係しています。人と話そうとして、戸惑っている間に、相手の人そのものを観察してしまう。すると、だんだん相手の表情や仕草から、考えや思いが読み取れるようになりました。
木原
興味深いお話ですね。
山﨑
木原さんのお話に戻しましょう。僕の知人が新型コロナウイルスでイベントが中止になる瀬戸際の時期に、様々なダンス公演を見に行ったそうです。そこで彼は、ウイルスの流行によって鑑賞者の心理が変化していて、作品にリアリティが感じられないことに気がついたと言っていました。木原さんが現在の状況で感じていることを教えていただけますか?
木原
踊るって何だろう?と考えることはあります。踊っている時には心身ともに感覚が鋭くなります。例えば、共演者の身体まで自分の延長のように感じたり、共演者の精神的な状態を察知できたりする。私はそのような感覚の広がりが好きなんですね。スタジオや劇場に自分を置かなくても、そういった状態を作れるのかなと考えています。状況が以前のように戻ることも想定して、身体的なトレーニングは続けているのですけど。
今回の出来事を経て、大多数が同じアートやエンターテイメントを見るというよりは、小さなコミュニティができていくという風に、世の中は変わると思います。今もそうなりつつありますけど、さらに。そうだとすると、自分と方向性が似ている人達と何をするかということが大切になるように思います。
山﨑
なるほど、よくわかりました。
少しリサーチをさせてください。指で自分の身体に触れて、その感触からイメージする言葉を教えていただけますか。触れる場所はどこでも構いません。
木原
(唇の縁に触れて考える)イメージした言葉は「砂」「眠れない」「毛布」です。
山﨑
わかりました。僕は「風が吹いて、桜の花びらが動いた」というイメージが思い浮かびました。
好きな色はなんですか?
木原
緑です。柿の新芽のような黄緑や、青みがかったトルコブルーも好きです。
山﨑
質問は以上です。たくさんの興味深いお話をありがとうございました。次のプロセスに繋がる言葉を綴ってお送りします。
木原
ありがとうございました。

インタビューはいかがでしたか?
ここからどのような言葉と、それに対するリアクションが生まれるのでしょうか。
次回のレポートは幅田彩加さんへのインタビューを予定しています。
引き続き、ダンサー同士の対話をお楽しみください。

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