Kenta’s BLOG Vol.3 コミュニケーション

2020/7/30(Thu)

写真:全日本シニア合宿 2018の様子
 3歳の頃に見たフィギュアスケートがきっかけでバレエを始め、それから数十年後、オランダと日本でフリーランス活動を本格的に始めた頃に、なんとそのフィギュアスケートの仕事が舞い込んだ。その仕事とは、日本スケート連盟が主催する*フィギュアスケート全日本合宿の表現トレーニング講師。バレエやコンテンポラリーダンスを中心にフィギュアスケートの表現に必要な要素をダンサーとして伝えるというダンス界からの重要な遠征である。今年もつい先日無事に全日程が終了した。

 バレエ、コンテンポラリー、フィギュアスケート、ミュージカル、大人に子どもとさまざまな人を対象にクラスを行ってきたが、どのクラスでもダンスのなにを伝えれば受ける側にとって一番ピンとくるのかいろいろ悩みながら考える。「踊るっていいな、音楽に乗ったり、身体を動かすことは楽しい」ということをまずはシェアしたい。相手が誰であれ、興味を持ってもらえなければそこで関係は終わりだ。興味がなければ、すべて詰まらないものになってしまう。さて、どうしたら面白いと興味を持ってもらえるか。

 フィギュアスケート選手の場合は、「そもそもなぜダンストレーニングではなく表現トレーニングという名称なのか」がポイントだった。彼らはダンサーを目指しているわけではなく、あくまでダンスにおける表現の要素を用いて氷上での演技に活かすことを目的としている。(ダンサーにスカウトしたい選手もいるけれど!)ここからズレては誰も興味を持ってくれない。フィギュア選手のケースは一つの例だが、これはバレエやミュージカルの人にも同じことが言える。毎回自身のキャパシティの限界を感じるけれど、一方通行にならないように彼らの立場と目的を考えて自身の経験を定期試験を受けるかのようにフル活用するしかない。

 そしてどんな現場でも、同じ言葉を投げかけても信頼関係があるかないかで受け取られ方は大きく違ってくる。今回の合宿は厳重なコロナ対策下ではあったが、講師として招かれて4年目ということと、自粛期間中に滑ることができなくなった選手たちのためにオンラインで表現トレーニングを毎週のように行なっていたので、例年よりも選手たちとはもちろん、コーチや保護者の方とも接する機会が増え、コミュニケーションが密に取れるようになった。反応はさまざまだが、一番伝えたいと思っていたことを感じ取ってもらえたという感触があった。どの選手も氷上の演技と結びつけていけるようにと注意深く聞いてくれて、思春期でぶっきらぼうな態度であってもかわいく思えてきた。身体で表現することを学びはじめた彼らのこれからの変化がさらに楽しみになった。(表現トレーニングを継続していくかどうかは彼らの選択である!)

 8月からダンサーの指導を正式にDaBYで*ProLab「クラス」と「マスタークラス」として展開する。プロフェッショナルダンサーを対象にしても根本は同じ。指導というよりはシェアすると言ったほうがやっていきたい方向性に合う。日本で活動するダンサーたちは一体どんなことを考えていて、どんな活動を目指しているのか知るのが楽しみだし、自身も含め質を高め合わないとコロナ時代は生き抜くことは厳しいだろう。

 どんな時も吸収したことを次に繋げていかないとそこで終わってしまう。

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*参照

*(公財)日本スケート連盟フィギュアスケート全日本合宿(通称:強化合宿):
毎年夏に行われるこの合宿は日本を代表するジュニアとシニアの強化選手が参加資格を有する合宿で、氷上練習の他に陸上トレーニング、メディカルチェック、行動規範、ルールやアンチ・ドーピング講習、そして表現トレーニングなどさまざまなカリキュラムがある。また荒川静香選手が第一期生であった全国有望新人発掘合宿(通称:野辺山合宿)は選抜されたノービス選手(シングルでは9歳〜12歳)対象の合宿でジュニアへの登竜門として知られている。

*ProLab「クラス」と「マスタークラス」:
DaBYにて実施される小㞍健太によるクラス(基本週2回)とゲスト講師によるマスタークラス(今年は3回を予定)。6月よりトライアルとして始動。8月より正式に登録ダンサーによるクラスが開始する。受講料は¥1,200(税込)で対象はプロフェッショナルダンサー。登録希望者はクラスの体験受講(無料)と面談を行う。また年間で若干名を選抜(今年度は4名)し、DaBYレジデンスダンサーとしてすべてのクラスの受講料が免除される。
詳細:https://dancebase.yokohama/info/2886