When will we ever learn?
おそらく、気軽に差別や断罪的な行為への言及はできないと多くの人が考えます。 このようなテーマに向かい合う時、まず初めに超越性を捨て、立脚している場所を一旦固定することによって発言権を得る。ここまでを伝統的な構えとして我々は諸問題に対応しています。そして我々がしたこともその例から漏れません。立脚点を各ダンサーに定めてもらう。言い換えれば、その人でなくてはならないということです。
同時に、あくまでもダンス作品ですから入れ替え可能になることが特性でもあります。「名作」は代替可能性を前提として振付を引き継いで来た作品たちです。これはダンス固有の「振付」という、 記憶装置を前提に成り立ちます。これは先ほどとは相反して、ダンサーへのある種の代替可能性を認めざるをえません。
ダンスが主題に立ち向かう時、「振り付ける」という非対称的な行為を通じて、ダンサーの体を通じて記憶することで「非対称的な関係におけるコミュニケーションモード」へ向かいあえないか。
この作品は決して抗議の作品ではありません。抗議することが社会にとっていい結果を生み出す、と無邪気に賛美できない段階にあると考えているためです。
我々の記憶を我々が記憶する。このことをダンス固有の「振付」という表現方法から考えたいと思いながらクリエイションに臨んでいます。
丹羽青人
演出・振付: 鈴木竜 (Dance Base Yokohama)
出演: 飯田利奈子、柿崎麻莉子、 鈴木竜、中川賢/村上生馬(ダブルキャスト)
音楽: ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ニール・ヤング、 デヴィッド・ボウイ、ボブ・ディラン、ピート・シーガー
照明デザイン: 伊藤雅一 (RYU)
音響デザイン: 牛川紀政
衣裳: 渡辺慎也
[初演時]ドラマトゥルク: 丹羽青人 (Dance Base Yokohama) アンダー: 大岩絹依(DaBY レジデンスダンサー)
プロデュース: 唐津絵理 (愛知県芸術劇場 / Dance Base Yokohama)
プロダクションマネージャー : 世古口善徳 (愛知県芸術劇場)
照明コーディネート: 伊藤雅一 (RYU)
音響デザイン: 牛川紀政
制作: 田中希 (Dance Base Yokohama)
初演: 2021年12月(愛知県芸術劇場)*「鈴木竜トリプルビル」にて
企画制作: Dance Base Yokohama
共同製作: Dance Base Yokohama、愛知県芸術劇場
◆PERFORMANCE
2022年 パフォーミングアーツ・セレクション2022
・10月 まつもと市民芸術館 実験劇場(長野)
・10月 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場(新潟)
・11月 吉祥寺シアター(東京)
・11月 熊本県立劇場 演劇ホール(熊本)
2021年12月 DaBYパフォーミングアーツ・セレクション /KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ(神奈川)
2021年10月 鈴木竜トリプルビル /愛知県芸術劇場 小ホール(愛知)*初演
◆REVIEW
太田充胤 (DaBYパフォーミングアーツセレクション2021)
國吉和子 (DaBYパフォーミングアーツセレクション2021)
岡見さえ (鈴木竜トリプルビル)