never thought it would
惑星(Planet)という言葉は、ギリシャ語で「さまようもの」や「放浪者」を意味する「Planē ́ tēs」からきているそ うです。恒星の周回軌道上をぐるぐると回り続ける惑星を地球から見た際、その動きがまるで空をさまよって いるかのように見えたことがその語源となったと言われています。
私にはこの惑星と、踊り続ける自分の姿が重なるのです。
ピナ・バウシュは生前、「Dance, dance, otherwise we are lost」(踊れ、踊れ、自分を見失わないために)と 語ったそうです。
しかし私にはなぜ踊っているのかどころか、どこがスタート地点だったのかも、これからどこへ行くのかも、も はや見当がつかないのです。唯一わかっているのは、私がどこを通ってきたか。それだけなのです。
私は、過去の端にある切り立った崖のような「現在」から、まるで惑星のように落下し、踊り続けるしかないの です。
鈴木竜
この作品は「振り返ること」がキーワードの一つになっています。
・静止しているようにみえるものも、実は微細な振動をしている。
・地球は止まった平面ではなく、周りながら回る球体である。
・LED はずっと光り続けているのではなく、点滅を繰り返している。
私たちがみている世界と、実在する世界の事実には食い違いがあります。
そして、振り返ることで、そのみえている世界すらも変わり続けます。
私が思っている私と、辿ってきた私は異なり、ここにいる私と、あそこにいる私もきっと別人です。
連綿と続く事実の連続体とそれに伴い変わり続ける認知世界、その間で、一見変わらない人間の身体の押し 合い圧し合いがあるとすれば、生まれ変わり続けるそれを「振り返る身体」でどう考えられるのか。そのような 挑戦だと受け止めています。
宮野健士郎、丹羽青人
演出・振付: 鈴木竜 (Dance Base Yokohama)
出演: 鈴木竜、柿崎麻莉子(ダブルキャスト)
音楽: tatsukiamano
ドラマトゥルク: 丹羽青人 (Dance Base Yokohama)
舞台美術: 宮野健士郎
照明コンセプト: 武部瑠人
衣裳: 渡辺慎也
[初演時] 音楽: アルヴァ ノト 音楽編集: 岡直人
プロデュース: 唐津絵理 (愛知県芸術劇場 / Dance Base Yokohama)
プロダクションマネージャー : 世古口善徳 (愛知県芸術劇場)
照明コーディネート: 伊藤雅一 (RYU)
音響デザイン: 牛川紀政
制作: 田中希 (Dance Base Yokohama)
初演: 2021年12月(愛知県芸術劇場)*「鈴木竜トリプルビル」にて
企画制作: Dance Base Yokohama
共同製作: Dance Base Yokohama、愛知県芸術劇場
◆PERFORMANCE
2023年1月 [国際交流基金、Attakkalari Centre for Movement Arts共同製作]Ashareeravani: Sound without Body
・Bangalore International Centre(インド・バンガロール)
・A J Hall(インド・コチ)
2022年11月 パフォーミングアーツ・セレクション2022 /吉祥寺シアター(東京) 鈴木竜/柿崎麻莉子出演
2021年12月 DaBYパフォーミングアーツ・セレクション /KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ(神奈川)
2021年10月 鈴木竜トリプルビル /愛知県芸術劇場 小ホール(愛知)*初演
◆REVIEW
太田充胤 (DaBYパフォーミングアーツセレクション2021)
岡見さえ (鈴木竜トリプルビル)