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Dance Base Yokohama

Dance Base Yokohama

talk Dance Vol.7『あはい』(小㞍)

2021/6/9(Wed)

Photo: Hiroyasu Daido / Saitama Arts Theater
 
『あはい』は、2020年度につくった最後の作品で、12日間(内公演2日)という短い講習期間内でアトリエクラス(創作クラス)としてクリエーションを行った。作品イメージを森永くんと長らく話し合って準備をしていたが、どのようにダンサーたちに描きたい世界観をアプローチをして、振り付けとしてアウトプットしていけばいいのか、受講生と直接会うまでははっきり分からなかった。

 特に今回は10日間しかなかったので時間との闘いでもあった。実験的要素ではなく『The Threshold』と『Dialogue』での課題やknow-howを整理するプロセスに近かった。また迅速に作品構成や舞台照明の方向性を判断していかないといけなかったので、試験を受けるような緊張感とストレスがあったけれど、幸い今年の受講生はすでに国内外で活動をしているダンサーが多かったこともあり、各々が積極的に作品コンセプトと向き合って表現を模索してくれた。

 「あはい(あわい)」とは、時間・空間・身体における間(ま)と、その関係性の調和を意味している。重要なのは12人で1つの融合ではなく、12の個が集まっている状態、すなわち調和することでつくられる情景を創造すること。例えば田園風景は、人工的に作られた田や畑、水路などが存在するが、自然が作り出した地形と調和することで美しい風景になる。

 音楽は、出演者12名と森永くんのフィールドレコーディングの中から音楽を探した。気になっていたのは、ベトナムのエデ族のフィールドレコーディングだったが、なぜ民族音楽を使うのか、現代の日本に生きる私たちとの繋がりが見つからなくて悩んだ。

 その頃、クリエーション期間が3月11日の週だったこともあり、震災追悼の記事やドキュメンタリーがテレビやネット上に多くあった。そこで偶然目を止めたのは家族を失った高校生の話であった。朝、家族とごはんを食べて、「行ってきます」と言って学校へ行く。途中で会うお隣のおばさんや友達に挨拶しながら学校へ行き、自分の席に座って授業を受ける・・・。そんなごく普通だった日常がなくなってしまったと語っていて、それでハッとした。それこそが営みで、エデ族の人にとったら音楽だって。エデ族のドキュメンタリーでも、いつものように叔父さんがベースの音を弾いて、隣のお兄さんが横で一緒に弾いているという日常(その一部に音楽がある)を過ごしていると語っていた。彼らの音楽は日常の営みで、間を取り呼吸を合わせて音楽を奏でることは彼らの生活の一部であって、それ以上でも以下でもない。

 森永くんにもこの話をしたところなるほどと、「日常の中にある呼吸、ダンスと音楽の呼吸が時空を越えて交わる」のは面白いねと同意してくれ、アイディアが次から次へと出てきた。出演者全員の吐息や呼吸を録音して、そこから作品を始める。女性しか触れることが許されていない笛の音源を次第に加え、ダンサーの動きが増えることで呼吸が荒くなる様を、エデ族のリズミカルな音楽へと変容させ、全員のユニゾンでエネルギッシュに踊る。そして最後は記憶が消える情景を描いた。直接的な表現は好きではないので大きな意味を持たせるつもりはなかったが、私にとっては記憶が消えることは少なからず死を意味する。嵐の後に訪れる何事もなかったかのように静かな海と穏やかな空気感。それは津波で消え去った日常、記憶の回想、そして死。その都度見る側の心情で受ける印象が変わってくるはずである。それを静かに感じる時間をつくり、観客に委ねたかった。

 もう少し時間があれば照明や舞台空間を工夫したかったが、時間あればできるというのは言い訳になるのでやめておこう。機会があればいつかブラシュアップして長編にしてみたい。


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『あはい』

初演:2021年3月20日 彩の国さいたま芸術劇場小ホール
演出振付:小㞍健太
音楽:森永泰弘
出演:さいたまダンス・ラボラトリVol.3 受講生
主催・企画・制作:彩の国さいたま芸術劇場(公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団)
*さいたまダンス・ラボラトリVol.3公演「明日を探る身体」にて上演

「あはい(あわい)」は、時間・空間・身体における間(ま)と、その関係性の調和を意味する。クリエーションの過程では、森永泰弘のフィールドレコーディングによる、身体を包み込むようなベトナムの少数民族エデ族のゴング音楽にインスパイアされた。同じ民族でも集落や演奏者が変わることで、音楽の表情がガラリと変わるほどの繊細な関係性に触れることが、12人のダンサーたちの踊る手がかりとなった。


Photo: Hiroyasu Daido / Saitama Arts Theater
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